ー素描と版画 1895-1906ー パウラ・モーダーゾーン=ベッカーとヴォルプスヴェーデの画家たち
2005年9月3日(土)~10月16日(日)
19世紀末から20世紀初頭にかけ、ブレーメン(北ドイツ)郊外に花開いた芸術家村がありました。その名はヴォルプスヴェーデ。自由な生と新しい美を求めた芸術家たちは、手つかずの自然と素朴な人々に惹かれ、この地に集いました。とりわけ、31歳で夭逝した悲劇の女性画家、パウラ・モーダーゾーン=ベッカー(1876-1907)は、独自の絵画表現に自らの生を燃焼させた、ドイツ表現主義絵画の先駆者として知られています。
澄みきった自然の中で、いのちあるものに慈しみのまなざしを投げかける一方、パウラはセザンヌやゴッホ、ゴーギャンなど、最先端のパリ美術界からも刺激を受けます。研ぎ澄まされた土着性と近代感覚は、やがて単純化したフォルムによる独自の色彩言語へと結実しました。自ら「ざわめく音、あふれる量感、喚起するもの、つまり力強いものに色彩を与えたいのです」と語るように、彼女の作品からは、対象が放つ力強い生命力と、その普遍性が見てとれます。
本展では、素描と版画という生活に密着した表現媒体を通じて、パウラをはじめハインリヒ・フォーゲラー、フリッツ・マッケンゼン、オットー・モーダーゾーンら、この芸術家村の住人たちの作品を辿ります。さらにはドイツ近代美術に一条の光を投じたこのグループと、詩人ライナー・マリア・リルケらとの交遊も浮き彫りにします。生と芸術、文学と絵画、市民性と地方性といった総合芸術の魅力が、わが国で本格的に紹介されるのは初めてのことです。この好機に、北ドイツの寒村に花開いた芸術家村・ヴォルプスヴェーデの世界に、ぜひ触れてみてはいかがでしょうか。
展覧会情報
会期 | 2005年9月3日(土)~10月16日(日) |
会場 | 伊丹市立美術館 |
休館日 | 月曜日(但し祝日開館・翌日休館) |
開館時間 | 10:00〜18:00(入館は17:30まで) |
入館料 |
一般700(500)円/大・高生350 (250)円/中・小生100 (8O)円 |
主催 |
伊丹市立美術館、(財)伊丹市文化振興財団、大阪ドイツ文化センター |
企画/提供 | ifaドイツ対外文化交流研究所 助成:芸術文化振興基金 |
助成 | 芸術文化振興基金 |
関連企画 |
講演会(聴講無料、要観覧券) |
同時開催 | 所蔵品展II 「ドイツのまなざし」 2005年8月3日(水)~12月4日(日) 「日本におけるドイツ年」にちなみ、第一次世界大戦に端を発した激動の時代に制作を続けたドイツの作家3名(コルヴィッツ、ペヒシュタイン、ディックス)による所蔵品展を開催します。なお、アメリカの作家ベン・シャーンの作品<<リルケ『マルテの手記』より>>も併設します。 |