2012伊丹国際クラフト展 「酒器・酒盃台」
2012年11月17日(土)~12月24日(月祝)

清酒発祥の地・伊丹で開催する伊丹国際クラフト展は、今回で15回目を迎えました。今回は「酒器・酒盃台」がテーマで、海外11ヶ国、34名を含む399名、1,952点の前回を上回る応募がありました。
審査員の厳正な審査の結果、94名が入選。その中から10名の入賞が決定いたしました。入賞作品はすべて想像力とアイデアにあふれる作品ばかりです。日本酒のあるシーンを愉しむ、新しい発想の酒器・酒盃台をどうぞお楽しみください。
-審査講評より-
狭義の「クラフト」とは、作家のアイデアと作家自身の加工による少量生産の実用品を指す。しかし、工房単位などで中量生産するタイプの所謂「クラフトデザイン」のものや、設計と加工を完全に分けて本格的量産を目指す「プロダクトデザイン」のものが、歴史的にもしばしば同じ土俵で扱われ、こうした公募展でもその線引きは曖昧だ。結果、ともすれば形・模様ともミニマムな、手跡を抹殺したプロダクトデザイン(風)が評価されがちである。陶芸なら陶器より磁器が有利になりがちだ。その中で敢えて「クラフト」の一筋縄ではいかない性質を本展の入選作・受賞作の多くは果敢に示して頼もしい。
大賞の作品は同じ作者のもう1組と、ハイレベルで評価が拮抗した。賞を逃したぐい飲みだけの組物の方が、完成度や密度はむしろ高いかもしれない。しかし彫漆技法を思わせるその模様の美しさのみに頼るのでなく、注器に先鋭的なフォルムを持ってきた受賞作《虹の雫》の方に、最終的には軍配が上がった。酒器という極めて限定された用途に対してであっても、加飾だけでなく「造形」によっても攻めることができるのだということを大賞受賞作は示している。この制作姿勢こそ、酒器やクラフトの未来を切り拓く可能性そのものではないだろうか。
審査員長 外舘和子 [ 美術評論家・愛知県立芸術大学非常勤講師(工芸史) ]
展覧会情報
| 会期 | 2012年11月17日(土)~12月24日(月祝) | 
| 会場 | 伊丹市立工芸センター | 
| 休館日 | 月曜日(祝日の場合翌日) | 
| 開館時間 | 10:00~18:00(入館は17:30まで) | 
| 入場料 | 入場無料 | 
| 主催 | 伊丹市立工芸センター[公益財団法人伊丹市文化振興財団・伊丹市] | 
| 協賛 | 
 小西酒造(株)・伊丹老松酒造(株)・(株)光陽社・(株)ユーアイ・佐竹ガラス(株)・伊丹酒造組合  | 
| 後援 | 
 近畿経済産業局・兵庫県・(社)総合デザイナー協会DAS・(株)ベイ・コミュニケーションズ・伊丹コミュニティ放送(株)  | 
| 審査員 | 
 外舘 和子 [ 美術評論家・愛知県立芸術大学非常勤講師(工芸史) ] 審査員長  | 
| 表彰式 | 
 日時:11月17日(土) 13:00~   | 
| 関連企画 | 
 ■「入賞作家の作品で伊丹のお酒を呑もう!」 ■「クラリネットコンサート」 ■「街なかの飲食店で、伊丹国際クラフト展の入賞作家の作品を使って伊丹の日本酒を呑もう!」  | 
入賞作品
                梶間 智絵 《 虹の雫 》
                BAYLESS Heather 《 Nesting Cups 》
                小久保 光将 《 鋳錫馬上盃 》
                藤井 由香里 《 ハレの日の器 》
                牟田 陽日 《 たまゆらの酒器、松と梅 》
                野口 健 《 red vessel 》
                TIDÂNG Erik, Gunnar 《 COLLECTING SUNSHINE 》
                藤田 有紀 《 ochoco. 》
                松本 治幸 《 炭化磁盃 》
                藤嵜 一正 《 遊漁と片口(ゆうぎょとかたくち) 》