市立伊丹ミュージアム

HAIKU PROGRAMS

伊丹一句(19)の日 結果発表

令和7年1~3月分

たくさんの投句をありがとうございました!伊丹一句(19)の日は毎月19~21日に実施していますので、どなたでも気軽に投句してください!

令和7年1月分(投句総数:906句)

特選

雪嶺や父の角度に製図台   神奈川県  伊予素数

(選評)「父の角度に」がいいなあ。窓に雪嶺のある部屋、そこへ父がそうしていたように製図台を置いているのだ。父の仕事を継いでいるのかもしれない。(坪内稔典)

入選

森田 純一郎 選

片足に満身委ね鶴凍る   兵庫県  岩永 靜代
手庇に須磨の海光梅探る   兵庫県  小林 恕水
わり箸のきれいに割れて春近し   神奈川県  沼野 大統領

和田 華凜 選

鶴凍てて夜のにほひに包まれる   福岡県  江口 秋子
ゲルニカに眼はいくつ冬銀河   大阪府  押見 げばげば
勾玉の割れて湧き立つ青葉かな  愛知県  四條 たんし

岡田 耕治 選

福笑始める前を笑ひをり   大阪府  青木 美葉
水底はきつとあおぞら鰤起   石川県  幸田 梓弓
雪達磨に勝手に兄を作りけり  香川県  細川 鮪目

坪内 稔典 選

裸木もわれも独りきりの一個  石川県  秋野 しら露
着ぶくれて回覧板に丸印   大阪府  和泉 攷
ミュージアムへすべってころんで春立って  大阪府  かなっぺ

柿衞文庫賞

アンゴラのセータあの日のパンケーキ  大阪府  赤窄 結
瑠璃色はラッキーカラー日記買う   埼玉県  小田 毬藻
忘年会噓は付かぬが法螺は吹く   兵庫県  菅野 漠水
前向きの言葉集めて初句会    兵庫県  岸 耕治
冬銀河幾何を習った頃もあり   東京都  羽住 博之
パイプオルガンの音は銀色聖夜かな  兵庫県  武藤 龍雄
ふところの犬顔出せり初電車   神奈川県  龍野 ひろし

佳作

御降りの雪となりたる港町   兵庫県  荒川 芳郎
炬燵して母に漢字を教へをり   愛知県  飯田 イサク
野うさぎやフレームの無き青き空   大阪府  石原 由女
うどん屋の暖簾をくぐる戎笹   兵庫県  大山 紀子
花カンナ誰かが嘘をついている   奈良県  こにし 桃
獅子舞の後ろの脚をやりたい子   島根県  寺津 豪佐
初雪や猫懐にポストまで   石川県  中 十七波
綿虫の集まって居るお葬式   千葉県  沼 みくさ
春近しほろろ毀るるメロンパン   兵庫県   長谷川 淑子
お隣も向こうの家も落葉掻   大阪府   原口 貞子
初参り鬼貫句碑の彫り深し    兵庫県   松井 茂子
横書きのやうなおしやべりシクラメン  北海道   村瀬 ふみや

令和7年2月分(投句総数:865句)

特選

じいちゃんのおもちゃ病院春炬燵   新潟県  春野 ぷりん

(選評)病院長になって爺ちゃんも楽しそう。「春炬燵」という季語を思いきり楽しくした秀作です。(坪内稔典)

入選

森田 純一郎 選

干し上がる海苔一枚の重みかな   兵庫県  榧野 実
水仙の見下す能登の海静か   兵庫県  岸下 庄二 
蹄鉄を打つ音軽し草萌ゆる  兵庫県  平尾 美智男

和田 華凜 選

春隣ハノン聞こゆる明かり窓   大阪府  石原 由女
うぐひすや公民館に集ふ靴   東京都  桜鯛 みわ
ものの芽の土手走り行く女子部員   大阪府  戸部 紅屑

岡田 耕治 選

おかへりの声とストーブの匂ひと  奈良県  青居 舞
母を待つやうに椿の落ちにけり   京都府  加藤 草児
身の丈の明日を守るクロッカス  北海道  村瀬 ふみや

坪内 稔典 選

としあけてこっそりしゃべるかがみもち   兵庫県  天野 哲慈
白菜のかくしごとなき真半分   兵庫県  沖津 京子
春浅しピザ屋にドストエフスキイ  愛媛県  松田 夜市

柿衞文庫賞

かさぶたがあった筈だが日向ぼこ   静岡県  石上 純子
春浅し検診結果待つ廊下   大阪府  江本 玲子
あて先は春風郵便局留と   滋賀県  空流峰山
何者かになってどうするおでん酒   埼玉県  澤田 紫
長靴の左右逆の子春の雪   石川県  中 十七波
少年はしづかに病みて庭桜   千葉県  沼 みくさ
啓蟄や誰も見つけぬかくれんぼ   岐阜県   鷲津 誠次

佳作

立春の走り根太き欅かな   大阪府  青木 美葉
雨粒が丸くなったら二月です   大阪府  雨森 茂喜
チャリンコを追ひ越して行く春一番   大阪府  荒木 直幸
たいやきをならんでたべてばあいばい   大阪府  石浜 西夏
蓬餅今日は私の機嫌とる   兵庫県  上田 幸子
寒念佛素足の僧の赤き脛    兵庫県  内田 あさ子
軽トラの傾ぎて停まる野焼かな   大阪府  押見 げばげば
法要を終えて一息浅蜊汁    茨城県   恋瀬川 三緒
あたまにね少しつもったしろい雪   兵庫県   仲町 悠花
スーツケースいつぱいの春深夜バス   愛媛県   ひでやん
条件は蝶来る庭のある物件   和歌山県   柚木 みゆき
のとじしんおじいちゃんちでこわかった   兵庫県   吉岡 佑心

令和7年3月分(投句総数:862句)

特選

ひとり来て修二会の闇につまづきぬ   兵庫県  荒川 芳郎

(選評) 一人で来たところに何か事情がありそう。やっぱり二人で、あるい家族と来るべきだったという後悔の念があるか。つまずいて苦笑しているのかも。(坪内稔典)

入選

森田 純一郎 選

ジャズマンの像冴返る北野坂   奈良県  阿部 由希子
剪定のあと庭風のより自由   神奈川県  下村 修
新社員肩甲骨の力みかな  北海道   庭野 環石

和田 華凜 選

朧の夜波の音せる乾燥機   愛媛県  砂山 恵子
一歩ずつ馴染むこの街沈丁花   愛媛県  ほしの あお
遊具みな春満月に濡れてゐる  和歌山県  柚木 みゆき

岡田 耕治 選

揺れている初蝶の翅濡れている   大阪府  雨森 茂喜
桜の木伐られし道を卒業す   大阪府  熊木 泰子
冬虹の真ん中にある滑走路  奈良県  こにし 桃

坪内 稔典 選

たんぽぽだもん七回生まれ変わっても   大阪府  石浜 西夏
たわむれにばあちゃんになる春の泥   兵庫県  村上 栄子
宇良はまたでんぐり返る亀は鳴く  兵庫県  山下 水音

柿衞文庫賞

春の雪南部せんべい噛みをれば   大阪府  井上 昌子
オルガンに合わせて開くチューリップ   奈良市  岡谷 よし子
ハーレーの轟きさくら餅と去りぬ   静岡県  忍田 孝乃
表札のない家並ぶ春の昼   兵庫県  北原 薫
制服に鶯餅の粉が飛び   兵庫県  木村 憲一郎
海の中ダイオウイカがおならした   兵庫県  濵﨑 勇翔
蝶生まる万有引力緩む時   兵庫県  丸岡 育子

佳作

春雨は吉永小百合のように降る   大阪府  赤窄 結
二つ目のケータイ鳴りて春の夜   石川県  秋野 しら露
引っかかる魚の骨と春うれひ   神奈川県  伊予素数
雛飾る雛の数程集まりて   大阪府  江本 玲子
春風や三塁蹴つて女の子   兵庫県  大前 邦子
傍らにふる里の酒木の芽和え   兵庫県  沖津 京子
昭和の日紅茶に角砂糖ふたつ   富山県  折田 祐美子
春セーター古書を選る手のうつくしく   神奈川県  沼野 大統領
知らぬ間にガンダムのゐる雛飾   兵庫県  平尾 美智男
鶯餅の首と思しき指の跡   兵庫県  ほなが 穂心
付箋とる自由な春の出来上がり   大阪府  松代 享子

入賞者には、投句時にご記入いただいたご連絡先にミュージアムよりご連絡させていただいております。まだ連絡がない場合は、何らかのエラー、もしくはお電話の不通が考えられますので、お手数ですが市立伊丹ミュージアム(072-772-5959)までご連絡ください。

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